各領域の診断コンテンツを、自社でもソリューション企業でも作れない
5領域の診断コンテンツを制作し、リリース計画に沿って提供
数字で見る
対応領域は、マーケティング/インサイドセールス/フィールドセールス/カスタマーサクセス/DXの5つです。
背景と課題
どんなプラットフォームだったか
クライアントは銀行です。新規事業として、課題を抱えた企業と、その解決策を持つソリューション企業を引き合わせるビジネスマッチングプラットフォームを立ち上げました。両者の縁組みが増えるほど成り立つ、二面型の事業です。
企業側にあたるのは銀行の既存取引先で、その多くは自社の課題を明確には自覚していません。そこで担当の営業がプラットフォームを持ち込みます。診断コンテンツはその入口にあたり、営業担当が取引先の目の前でヒアリングしながら回答を入力し、示された結果をもとに最適なソリューションを提示する、という使われ方をします。
コンテンツを作れる人がいなかった
プラットフォームを機能させるには、各領域の診断コンテンツを揃える必要があります。ところが、これを用意できる相手がいませんでした。
運営者である銀行自身は、マーケティングやセールスといった各業務領域の専門家という立場にはありません。これらの領域が対象に選ばれた理由は、多くの企業がそこに課題を抱えているからです。
登録しているソリューション企業のほうは、それぞれ守備範囲が限られています。マーケティングだけ、インサイドセールスだけ、という形です。複数の領域をカバーできる企業はあっても、全領域を賄える相手はいませんでした。
リリース計画の中に組み込まれた制作物
プラットフォームは、まず一部の支店で試験運用を始め、その後に全国の支店へ向けて本公開するという手順でリリースが進んでいました。診断コンテンツの制作は、その進行スケジュールの中に組み込まれた要素のひとつです。
やったこと
1. 与えられた枠に、中身を入れる
クライアントから示されたのは、「この領域で診断コンテンツを作ってほしい」という粒度の要件と、診断の枠組みでした。枠組みとは、カテゴリーをいくつ立てるか、それぞれ何問にするか、選択肢はどの程度に抑えるか、そしてそれらを変数として計算し、合計点から充足の度合いを判定する、という仕様です。
私が担ったのは、その枠に入れる中身のすべてです。カテゴリーをどう分けるか。どんな設問を立てるか。そしてどういう点に困りごとがあれば、それを課題と見なすのか。診断とは、この課題の定義を形にしたものだと言えます。
2. 概念の定義から組み立てる
たとえばDX領域の診断では、「攻めのDX」という言葉を定義するところから始めました。売上・利益の拡大に関連する業務を、デジタルツールによって活性化・効率化させること。そう定義したうえで、診断の全体を組み立てています。
定義が決まると、見るべき領域が決まります。
設問の選択肢には「取り組んでいる」「取り組んでいるが、不十分だと感じている」「まったく取り組んでいない」といった段階を置きました。中間の選択肢があることで、漠然とした感覚が回答として形を持ちます。
結果画面は、スコアとレーダーチャートで現在地を示したうえで、その状態が続くと何が起こるのか、目指すべき姿はどこか、そこへ向かう手順は何か、という順に展開しています。最後は領域ごとの課題として提示し、詳しいソリューションを持つ企業へ相談するという行動につなげました。
3. 使う人が説明できる形まで削る
この診断は、形式としては利用者自身が回答するものです。ただし実際の使われ方は違いました。営業担当がタブレットなどに映しながら、顧客企業の目の前で一問ずつ回答を入力していく、デモンストレーションに近い形で使われます。
つまり、営業担当自身が内容を理解でき、顧客にきちんと説明できることが条件になります。ところが最初のバージョンは設問数が多く、説明する側の負荷が大きくなっていました。そこで設問を絞った簡易版を用意しています。
判断の根拠は、このコンテンツの目的にありました。目的は新しい商談を生むことです。だとすれば、診断の精度を上げることよりも、手早く診断して「こういう課題がありますね、詳しいソリューションを持つ企業をご紹介します」と運べるほうが目的に適います。精度をあえて落とす判断でした。
4. 先方の計画と作業量をすり合わせる
納期は、クライアントのリリーススケジュールから逆算して提示されます。基本は発注から2週間程度でした。ただしその日程は、こちらの作業量を必ずしも織り込んだものではありません。
そのため都度、どこまでなら出せるかを相談しながら進めました。現実的に可能なラインを引いたうえで受け、五月雨での納品も交えています。実際に守れる計画へ落としたうえで引き受ける、という進め方です。
5. 制作数は、仕上がりを見ながら増えていく
7件という数は、進めるなかで積み上がったものです。まず1件を作り、2件、3件と続けるうちに、仕上がりを見た先方が必要な数を判断し、順次発注する形で増えていきました。
実際の成果物
掲載している画像は、当時の資料をもとにAIで再現したイメージです。守秘義務等の事情により、実際の資料とは異なります。

診断の概要と所要時間を示し、企業情報を入力して開始する画面です。診断の趣旨をここで説明しています。

領域ごとに設問が並びます。選択肢に中間の段階を置くことで、漠然とした手応えを回答として拾えるようにしました。

5領域それぞれの状態を図で示し、総合スコアと講評を添えています。あわせて、その状態が続いた場合に起こる問題も提示しました。

領域別に、どんなツールやサービスがあり、それで何ができるのかを一覧にしています。

何から手をつければよいかを順に示し、最後は領域ごとの課題として提示します。ここから、詳しいソリューションを持つ企業への相談につなげました。
結果
5つの領域にわたる診断コンテンツ7件を制作し、簡易版などのマイナーチェンジ版もあわせて用意しました。プラットフォームのリリース計画に沿って納品し、試験運用から全国展開へ進む過程で使われています。
診断コンテンツを起点とした引き合いが発生していることは、定例のミーティングでクライアントから展開状況として共有されていました。
いまのサービスとのつながり
この案件で私が担ったのは、設問という形をとった「何を課題と呼ぶか」の定義でした。どういう状態にある企業を、課題を抱えていると見なすのか。それが決まってはじめて、設問もカテゴリーも配点も決まります。
そしてもうひとつ、完成したものを使う人が説明できる形まで削りました。より精度の高い診断を作ることはできたはずです。ただ、それでは営業担当が現場で扱えません。使われないコンテンツは商談を生まないので、目的に照らせば価値が生まれません。だから設問を減らしました。
アウトプットの価値は、作り手から見た完成度よりも、使い手が実際に使えるかどうかで決まります。ナラティブ構築サービスでお渡しする6点のアウトプットも、同じ考え方で設計しています。その会社の方や、その会社が使うAIが、読んだあとすぐ手を動かせる形にしておく。そこまで整えて、はじめて成果物が使われます。